「会社員は退職金制度が整っているけど、フリーランスは自分で積み立てが必要だな」
「小規模企業共済ってお得なのかな」
「加入するなら節税効果が大きいといいんだけど……」
お金に対して悩みのない人はいないですよね。
たしかに、フリーランスは退職金制度がないので自分で準備する必要があります。
小規模企業共済という名前を聞いたことはあるけど、制度の詳しい内容まで知っている人は少ないのでははいでしょうか。
この記事では、小規模企業共済の概要やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
フリーランスで、万が一のためにお金を積み立てておきたいと思っている人は参考にしてください。
フリーランスが加入する小規模企業共済とは
小規模企業共済はフリーランスや個人事業主のための退職金制度です。小規模企業共済の概要とiDeCoとの違いについて解説します。
小規模企業共済はスモールビジネスの退職金制度
スモールビジネスの退職金制度と位置づけされているのが小規模企業共済です。自分で積み立てた掛け金に応じて、退職金の代わりに共済金が支給されます。
加入資格は以下の通りです。
- 小規模企業の個人事業主
- 中小企業の役員または経営者
運営しているのは政府の機関である中小企業基盤整備機構で、2022年時点の加入者数は約159万人に及びます。
【引用元:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済の現況】
会社員と違い、フリーランスは退職金制度がないので自分で積み立てておく必要があります。60歳以上の生活保障に不安を抱えている人は、メリットデメリットをおさえたうえで加入を検討しましょう。
小規模企業共済とiDeCoの違い
小規模企業共済は、個人事業主のための積み立てによる退職金制度です。
一方で、iDeCoは掛け金を払うだけでなく運用方法も自分で選べる私的年金制度です。
iDeCoとの違いを、以下の表で見てみましょう。
小規模企業共済 | iDeCo | |
加入資格 | 個人事業主中小企業の経営者・役員 | 20歳以上60歳未満なら、原則誰でも加入できる |
掛け金 | 1,000~70,000円 | 5,000~68,000円(※職業により掛け金が異なる) |
加入期間/途中解約 | 可能(※元本割れの可能性あり) | 不可(※掛け金を止めることはできない) |
貸付制度 | あり | なし |
小規模企業共済・iDeCoの共通点は、いずれも若いうちから掛け金を納めて加入者の老後の生活を豊かにして、長期契約が前提になっています。
フリーランスが小規模企業共済に加入するメリット
小規模企業共済は掛け金を積み立てて将来受け取れるほかに、節税効果もあります。
こちらでは、フリーランスが小規模企業共済に加入するメリットを4つ解説します。
①掛け金は全額所得控除になる
共済金の掛け金は、全額所得控除になるので節税効果があります。
全額経費として計上できるので、支払う税金が少なくなるところがメリットです。
例えば、年間の課税所得額200万円の人が、小規模企業共済へ加入した際の節税効果は以下の通りです。
- 課税所得合計:200万円
- 毎月の掛け金:1万円
- 年間の掛け金:12万円
- 年間節税効果:20,700円
(※課税所得金額とは、その年の総所得金額から基礎控除、扶養控除、社会保険料控除などを差し引いたあと課税対象となる金額を指します)
加入シミュレーションは、小規模企業共済のWebサイトより簡単におこなえるので、試算してみてください。
【引用元:加入シミュレーション|小規模企業共済(中小機構)】
②掛け金を自由に変えられる
掛け金は1,000円~70,000円の範囲内で設定できます。
最低掛け金額が1,000円で、それ以降は500円単位で自由に設定できて増減も可能です。
無理のない範囲で掛け金を決められるのは嬉しいポイントです。
払込方法は以下の3通りから選べます。
- 月払い
- 半年払い
- 年払い
また、掛け金はまとめて前納すると前納減額金を受け取ることができます。
③受け取り時にも所得控除が適用される
積み立てた掛け金を受け取る際は「退職所得」として見なされ税金が優遇されます。
受け取り時の税金の優遇については、以下の通りです。
- 一括での受け取り:退職所得
- 分割での受け取り:雑所得
節税効果が大きいのは、退職所得として一括で受け取るケースです。
それぞれにかかる税金の計算式は以下の通りです。
退職所得 | (収入金額-退職所得控除)×1/2 |
雑所得 | 総収入金額-必要経費 |
退職所得控除は、勤続年数によって異なります。
勤続年数が20年未満の場合 | 40万円×勤続年数(80万円より少ないときは80万円) |
勤続年数が20年以上の場合 | 70万円×勤続年数-600万円 |
【引用元:退職所得の計算方法|国税庁 】
「受け取るときに税金がかかるなら意味がないかも」と思う人もいるでしょう。
しかし小規模企業共済は一定以上の契約があれば、支払った掛け金総額より多くのお金を受け取ることが可能です。
④低金利の貸付制度が利用できる
小規模企業共済は、以下7つの貸付制度を利用できます。
掛け金の納付期間に応じた範囲内で、低金利での借り入れが可能です。
一般貸付 | 事業資金の借り入れ |
救急経営安定貸付 | 経済環境が変わり資金繰りが難しくなったときの、事業資金の借り入れ |
商業災害時貸付 | 病気による入院や災害により被害を受けたとき、経営安定のための事業資金の借り入れ |
福祉対応貸付 | 共済契約者または同居する家族の福祉向上のため、住宅リフォーム資金・福祉機器購入のための、資金の借り入れ |
創業転業時・新規事業展開等貸付 | 新規開業や転業時の資金の借り入れ |
事業継承貸付 | 事業継承が必要な際の資金の借り入れ |
廃業準備貸付 | 個人事業の廃業または会社を解散する際に、必要な資金の借り入れ |
フリーランスは金融機関からの借り入れが難しいので、いざというときに貸付制度を利用できるのは安心です。
フリーランスが小規模企業共済に加入するデメリット
節税効果が高く掛け金を自由に設定できる小規模企業共済ですが、デメリットもあります。
加入を考えている場合は、2つの注意点を理解しておきましょう。
①元本割れになる可能性がある
掛け金納付期間が240か月(20年)未満で解約した場合、掛け金合計額を下回り元本割れしてしまいます。
小規模企業共済では、掛け金の納付月数または共済事由ごとに受け取れる基本共済金(固定額)が決まっているからです。
20年以上加入していないと、損をする可能性があります。
契約時に20年先まで見通すことは難しいですが、目先の節税効果にとらわれず、きちんと検討したうえで加入しましょう。
②12か月未満だと掛け捨てになる
納付月数が12か月未満で解約すると、積立金が全く戻ってこないので注意が必要です。
12か月以内の解約は支給割合が0%になり、掛け捨てになってしまいます。
ただし、災害などのやむを得ない場合によって生じた掛け金の滞納については共済契約の継続が可能です。
フリーランスが小規模企業共済へ加入する際のよくある質問
こちらでは、フリーランスが小規模企業共済へ加入する際の質問について紹介します。
Q1.フリーランスが小規模企業共済に加入するのは危ないっのて聞くのはなぜ?
小規模企業共済は約147万人が加入しています。
令和3年度の資産運用収益は全体で1,494億円なので、現段階で破綻するリスクはありません。
小規模企業共済を運営している独立行政法人中小企業基盤機構のホームページでは、常に情報を開示しているのでチェックしてみてください。
【参照元:独立行政法人中小企業基盤機構小規模企業共済資金 令和3年度運用状況に対する「資産運用委員会」の評価・小規模企業共済の現況】
Q2.サラリーマンに戻った場合はどうなる?
個人事業が廃業になると「共済金A」を受け取れます。
共済金Aは3年以上、加入すると掛け金総額より多い共済金が受け取れます。
廃業時して経済的に厳しい状況のときに共済金を多く受け取れるのは、小規模企業共済の魅力の一つです。
Q3.掛け金を減額した場合の利率はどうなる?
掛け金を減額した際、以下2つのデメリットがあげられます。
- 減額した掛け金については運用されない
- 減額以降は納付月数はカウントされない
減額した場合は共済金を受け取るまで出金できず、金利がつかない状態になってしまいます。
掛け金は無理のない範囲で設定するようにしましょう。
フリーランスが小規模企業共済へ加入するなら、長期的な視点で考えよう
フリーランスに退職金制度はないので、若いうちから積み立てて準備しておきましょう。
小規模企業共済を利用すると、退職金代わりの共済金を退職時・廃業時に受け取れるので万が一のときも安心です。
小規模企業共済は節税面などのメリットがありますが、元本割れするケースもあります。
メリット、デメリットを理解したうえで、長期的な視点で考えて加入を検討してください。
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