フリーランスになりたて、もしくは目指している人にとって、
「フリーランスと会社員では、加入する保険は違うの?」
「会社員とは何が違うの?」
そんな疑問を持った人も多いのではないでしょうか。
実際、フリーランスと会社員では加入する保険が異なります。
そこで今回、フリーランスと会社員が加入する保険の種類の違いはもちろん、フリーランスの保険料を安くおさえる方法を紹介します。
一見難しく感じる保険事情ですが、一度理解してしまえばとても簡単です。フリーランスはもちろん独立を目指している方はぜひ最後までこの記事を読んでみてください。
フリーランスと会社員の保険の違い
ひとことで保険といっても種類は複数あります。そのなかでも社会保険は全国民が必ず加入しなければならない保険です。
社会保険のなかにもさらに種類があり、フリーランスと会社員ではそれぞれ加入する保険が異なります。会社員が加入する保険と、フリーランスが加入する保険についてそれぞれ説明します。
会社員が加入する保険
会社員が加入するのは社会保険です。社会保険の正式名称は「一般被用者保険」で、入社した時点で加入します。社会保険の最大の特徴は、会社が保険料を半額負担してくれる点です。保険料は毎月の給料から自動で引き落とされるため、自分で保険料を納める必要はありません。
フリーランスが加入する保険
フリーランスが加入できる保険は大きくわけて以下の3つがあります。
- 国民健康保険
- 国民年金保険
- 介護保険
なかでも、絶対に加入しなければならないのが国民健康保険です。国民健康保険はそれぞれ住んでいる市町村が運営しており、保険料の算出方法も異なります。
会社員からフリーランスになった場合には、原則として退職日から14日以内に国民健康保険への申し込み手続きをする必要があります。その際、同時に国民年金への切り替えもしておくと手間が省けるのでおすすめです。
ただし一部例外で、退職日までに2ヶ月以上継続して会社の社会保険に加入していればそのまま継続して社会保険に入り続けることもできます。退職後も社会保険に入り続けられる期間は最長2年間で、その後は国民健康保険へ切り替えなければなりません。
国民年金保険はフリーランスにとって加入が必須の保険です。国民年金保険は会社員が払う厚生年金よりも金額は少ない分、受け取れる金額も少なくなります。受け取る金額をもっと増やしたい方は、国民年金基金や付加年金、小規模企業共済などといった制度を利用する選択肢もあります。
介護保険は、40歳以上のフリーランスが加入しなければならない保険です。40歳未満のフリーランスは加入してもしなくてもどちらでもかまいません。
いずれ自分が動けなくなり、介護が必要になったときに保険料が払われるための保険です。40歳から64歳までは国民健康保険と一緒に支払わなければなりません。65歳から保険料の受け取りが可能です。受け取る際には年金額から受け取った金額が差し引かれる仕組みになっています。
フリーランスは国民健康保険「組合」に加入する方法も
実は国民健康保険と似たような種類の「国民健康組合」も存在します。国民健康組合とは、飲食や医療、美容など特定の職種や業種の従業員によって作られた保険組合です。
フリーランスは、国民健康保険に加入するのが原則です。その中でも特定の業種で働いている人は、国民健康保険の代わりに国民健康保険組合に加入することも可能です。
国民健康保険組合に加入すると、自分の所得が一定の金額を上回っている場合には、保険料が安くなる可能性があります。また、国民健康保険組合には「文芸美術国民健康保険組合」と「東京美容国民健康保険組合」の2種類があります。
それぞれひとつずつ詳しく紹介します。
文芸美術国民健康保険組合
文芸美術国民健康保険組合とは、文芸や美術に関わる活動をしている人を対象とした保険です。保険料は他の保険と異なり一律で¥19,600と決まっています。ただし組合に加盟している団体の会員であることが条件で、各団体の年会費なども追加で必要になります。
東京美容国民健康保険組合
東京美容国民健康保険組合は、東京都内でフリーランスとして働いている美容師が対象となる保険です。
都内で働いているフリーランス美容師なら誰でもいいわけではなく、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、山梨県に在住している人のみ加入が可能です。東京美容国民健康保険組合に支払う保険料は一律ではなく、年齢やその他条件によって異なります。
フリーランスが保険料を安くおさえる方法
フリーランスは会社員と異なり、確定申告をして自分で保険料や税金を納めなければいけません。会社員のように保険料が一定ではないからこそ、少しでも保険料を安くおさえたいですよね。
フリーランスが納める保険料は自分の所得、つまり課税所得によって決まります。そのため、課税所得を減らすために経費や控除を増やせば、保険料を安くおさえられます。
経費を増やす方法と控除を減らす方法をそれぞれ解説します。
経費を増やす
フリーランスが保険料を安くおさえるためにはまずは経費を増やすことです。経費を増やすことで課税所得を減らせるので、必然的に支払う国民健康保険料を減らせます。
ちなみに、フリーランスは仕事に関わるものならすべて経費としての計上が可能です。少しでも仕事に関連付けて経費を増やせないか検討するとよいでしょう。
控除を減らす
フリーランスはさまざまな控除を受けられます。控除をうまく利用して同じく課税所得を減らすことで保険料を下げることが可能です。控除にはさまざまな種類があり、それぞれ受けられる条件が異なるため、しっかりと確認して利用するようにしましょう。控除の一例をご紹介します。
青色申告特別控除
青色申告特別控除とは、確定申告において青色申告をした人が対象です。
自分の所得から最大で65万円まで控除できます。所得の額に比例して保険料も増えるため、65万円まで控除できるのはフリーランスにとっては大きなメリットです。
医療控除
医療控除とは、自分の家族も含めて医療費が一定の金額を超えた場合に、超えた金額が課税所得から引ける制度です。なお、医療控除の上限額は最大で200万円までです。
社会保険料控除
社会保険料控除とは、自分自身が社会保険料や国民年金、厚生年金などの保険料を納めたときに受けられる所得控除のことです。なお、自分が生計をともにする家族の社会保険料を支払った場合にも対象となります。
配偶者控除
自分自身に配偶者がいる場合、配偶者の年間所得が48万円以下の際に受けられる控除が配偶者控除です。ただし、自分自身の年間所得が1000万円を超えている場合には配偶者控除が受けられないので注意が必要です。
フリーランスの保険事情を理解して費用を安くおさえよう
本記事では、フリーランスと会社員で加入する保険の種類や違い、そしてフリーランスが保険料を安くおさえる方法について紹介しました。
一般的に会社員は社会保険、フリーランスは国民健康保険に加入しなければなりません。しかし、フリーランスでも条件を満たせば健康保険組合に加入できます。
また、会社員と違ってフリーランスは確定申告時に自分で保険料を納めなければなりません。そのため、フリーランスは経費を増やしたり控除を減らしたりすることで課税所得を減らして国民健康保険料を下げられます。
会社員とフリーランスでは、加入する保険の種類に違いはあります。しかし、難しくはないのでこの記事を参考にしっかりと理解しておきましょう。
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